207balcony2018年4月より中古住宅の販売の際の『ホームインスペクション』の実施の可否が、宅建業法の重要事項説明書の説明義務に追加されました。(調査の実施義務ではない)

建築事務所がおこなう建物調査とは、建物の劣化状況などの現況調査をすることだけでなく、既存の建物を増築や用途変更する場合に、その建物が建築された当時の法令に照らし合わせ『既存不適格建築物』の判定をすることも含んでいます。

■予備調査
まず、予備調査として確認しておきたいことは

□既存建築物の書類状況

・確認済証の有無 *無い場合は復元図面を作成
・検査済証の有無  *無い場合は12条5項の報告
・建築物の構造、規模など

□建築基準法の集団規定
・道路後退
・接道長さ
・用途地域関係
・建蔽率、容積率
・高さの制限など

□設計図書の有無
・配置図
・平面図
・立面図
・断面図
・その他法令関係図

□工事履歴など
・増築工事
・改築工事

こ れらの事項を事前に把握したうえで次の『現地調査』にのぞむことになります。このように既存建築物の事前調査は、そのあとの増築・用途変更の基本となるものです。

さて建築調査の方法は、まず『予備調査』を行い、つづいて『現地調査』へと移っていきます。また、既存建築の建物調査はその目的に応じて調査する項目や内容がちがってきます。実際には下記のチャート図をもとに『調査』〜『診断』〜『是正計画』〜『申請』へと作業がすすめられます。

■現地調査

現地調査では建築基準法の単体規定について現地で目視・測定により確認します。
□防火、耐火関係規定
□一般構造規定
□構造規定
□設備規定
□県条例関係など

これらの調査には『既存建築物調書』と『現況調査チェックシート』を使用します。

木造二階建て専用住宅の場合は4号建築物の構造規定(参考:よくわかる木構造)に沿ってチェックしていきます。この規定がのちの増築の確認申請の際のチェック項目にもつながっていきます。

実際のところ、既存住宅の調査はいきなり『耐震診断』というわけにはいかない面もあり、確認申請を必要としない一般的なリフォームと、確認申請が必要な増築や用途変更の場合とでは調査の内容もちがってきます。

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建物調査と確認申請のチャート図: ちょっとわかりずらいかもしれませんが、これまでの経験をふまえて建物調査と申請のチャート図を作ってみました。

水廻りのリフォームや内装の模様替え工事 などの軽微なものには必要ないかもしれませんが、検査済証のない既存建築物の増築・用途変更の際には必要となります。

検査済証のない既存建築物の用途変更と12条5項の報告

■既存建築物の用途変更