中古物件を用途変更するために確認しておきたい3つのポイント
ここでは、既存のテナントを放課後等デイサービスに用途変更した事例について具体的にご説明します。
【既存建物の概要】
・所在地:長崎市内
・構造規模:RC造二階建て
・既存の用途:歯科医院
・床面積:2階 112.00㎡ 診察室(避難階)
・1階 75.00㎡ 駐車場
この建物で『放課後デイサービス』を開設する場合について解説します。
まず、床面積の合計は200㎡未満であるため用途変更の確認申請は必要ありません。が
長崎市の場合、建築指導課で適法判定の確認が必要になります。(確認申請ではありません)
1.用途地域を確認する
用途地域とは都市計画法にもとづいて、その土地に建てられる建物を13種類の用途に区分して指定された地域のことです。
たとえば、放課後等デイサービスは、工業専用地域では営業できません。
また用途地域の規制区域以外でも、その建物がある場所(地域)によっては、放課後等デイサービスなどの児童福祉施設が開設できない地域があるので、事前に確認しましょう。
これは、実際の案件でトラブルになって相談を受けた例ですが、就労継続支援などの児童福祉施設は土砂災害警戒区域では営業できないため、注意が必要です。これはその他の規制区域で調べる必要があります。
長崎マップ(長崎市内)で確認できます。
2,既存不適格建築物であることが原則
『既存不適格建築物』とは建築確認申請などで使用する専門用語ですが、既存の建物を増築、用途変更するための重要なキーワードですから覚えておくと良いでしょう。
既存不適格とは、既存の建物が法令の改正によって改正後の技術的基準に適合しなくなったとしても、その建物を違反建築物として扱わないこととするものです。
あなたが今、『民泊』や『放課後デイサービス』を開業するために、探そうとしている空き家・テナントはほとんどの場合この既存不適格建築物に当たります。
もし、それが既存不適格ではなく違反建築であった場合は、原則としてその物件はNGになります。ただ、実際の物件でもっとも多いケースが『未確認の増築部分』がある場合です。
(これについては、当事務所にも最も問い合わせが多い事例ですので相談コーナーに新設予定です。)
さて、この既存不適格建築物の判断は用途変更にはとても重要なポイントになるため、詳しく説明するためには個別のケースになるのですが、ここでは違反建築でないことを念頭に簡単な説明とします。
・建蔽率、容積率が適合している。(集団規定)
・高さが基準を超えていない。(道路斜線など)
・居室の明るさがが適合している(採光計算)
・居室の換気が適合している(換気計算)
・網入りガラスのサッシや防火ドアなど(防火設備)
・構造規定に適合している。(屋根、外壁、基礎など)
以上は、その建物の建築当時の検査済証があれば問題ありませんが、そうでない場合は確認済証・建築計画概要書で追いかけることになります。
3.適法改修の費用は最小限で
既存の建物を『放課後デイサービス』などの特殊建築物に用途変更する改修工事は『適法改修』と言われています。
この『適法改修』工事は一般的なリフォーム工事とは違い、『放課後等デイサービス』の規定に適合させるためのものです。
それでは、チェックポイントを順を追って解説します。
*今回は1階部分のみを放課後等デイサービスに用途変更する場合です。
1.居室の床面積の1/50の排煙窓
2.非常用照明の設置
3.準耐火構造の壁
が主な改修ポイントになります。まず、実際の建物で一番ネックとなるのが1の排煙窓です。実際にはこれがクリアーできてない場合が多いです。
この対策としては排煙窓を増設する方法がありますが、この工事に関しては大変手間もかかるため賃貸物件の場合はテナントのオーナーさんの許可が必須となります。今回は、内装材の不燃化で緩和する方法を取りました。
2.の非常用照明はとくにむずかしいことではありませんから、ここでは省略します。が、これも既存のデイサービスなどに行くと意外についていないところが多く、
調査が入ると是正の対象になります。
3の『準耐火構造の壁』については今回は適用されないため必要ありません。(民泊の場合は必要)が、宿泊等が伴う場合の施設には100㎡ごとにこの『準耐火構造の壁』での区画必要があるため、覚えておくと良いでしょう。
以上が建築基準法に適合させるための『適法改修』についての解説です。
このほか、放課後デイサービスの許可書を交付する障害福祉課には、『消防法令適合通知書』の提出が必要なため消防設備の設置は必須になりますが、今回の場合は
・誘導灯
・消化器🧯
の設置が必要になります。これは、事前に消防署との協議によって『防火設備等使用開始届』を提出します。
以上が『適法改修』『消防設備』についての一般的な工事・手続きになります。
*長崎市のホームページでは、民泊・放課後デイサービスなどの特殊建築物への用途変更について、パンフレットで案内しています。
→詳しくは特殊建築物を開設する方へ(長崎市)をご覧ください。




