■用途変更(コンバージョン)とは
用途変更とはあまり聞きなれないワードですね。これは建築確認申請の場合に使用される専門用語で、もともとは住宅だったものを『民泊』にしたり、事務所だったテナントを『放課後デイサービス』などの、建築当時の使用用途を変更して建物を再利用することです。
ここでもう一つ専門的な用語で『既存不適格建築物』というものがあります。既存不適格とは、既存の建物が法令の改正によって改正後の技術的基準に適合しなくなったとしても、その建物を違反建築物として扱わないこととするものです。
あなたが今、『民泊』や『放課後デイサービス』を開業するために、探そうとしている空き家・テナントはほとんどの場合この既存不適格建築物に当たります。
既存不適格建築物を改修・増築して従来の建物とは別の用途に変更する場合には、原則として用途変更の手続き(建築確認申請)が必要になります。
たとえば、以下のような場合がそれにあたります。
・一戸建て住宅→高齢者デイサービス
・マンションの1階テナント部分→放課後デイサービス
・雑居ビル1階事務所→就労継続支援事業
これらの場合は、その建物の所在する行政官庁等に『用途変更』による確認申請が必要になります。(*ただし、営業床面積が200㎡以上)
その際、必要になってくるのがその建物の『検査済証』です。しかし中古物件の場合、そのほとんどの建物にはこの検査済証がない場合が多く、その後の申請手続きに支障をきたしていました。
では、検査済証のない既存建築物に関しては一切『用途変更』ができないのか、というとそうでもありません。
建築士による建物調査によって、その建物が違反建築ではなく既存不適格建築物であることを証明するか、もしくは違反部分等の是正(適法改修)をすれば用途変更が可能になります。(行政側との協議が必須)
ここで、『検査済証』について簡単にご説明します。
建築基準法では確認申請を受けて建築された建物に関して、その建物が完成したら4日以内に完了検査を申請し審査官による立会い検査受けることとなっており、この検査に合格できないとその建物の安全性・適法性が保証できません。この検査済証は銀行融資の際やその後の増築工事の申請の際には必須です。
■既存不適格建築物の用途変更
既存不適格とは、既存の建物が法令の改正によって改正後の技術的基準に適合しなくなったとしても、その建物を違反建築物として扱わないこととするものです。
既存の建物の用途を変更して特殊建築物にするには、床面積が200㎡以内の変更、もしくは類似の用途間で行われる場合を除き、用途変更・確認申請の手続きが必要になります。
繰り返しになりますが、既存の建物の用途変更手続きはその建物が完成した際に完了検査を受けている場合(検査済証あり)とそうでない場合(検査済証なし)では申請の方法が大きく変わってきます。
これまで、検査済証のない既存建築物に関しては『12条5項の報告』を行政窓口に提出したのち、用途変更の建築確認を申請していましたが、平成6年に国土交通省より緩和措置が告示されました。以下にご紹介します。↓↓↓
■既存建築物の活用の円滑化にかかる解説(国土交通省)
令和6年12月に国土交通省より示された『既存建築物を円滑に活用するための解説』です。→解説動画
2025年4月に建築基準法の大改正が行われ、既存建物の増築・大規模改修には『現況調査報告書』が必須になりました。これまで審査対象外であった構造チェックや断熱性能なども審査の対象となります(増築工事の場合)
また同年、5月26日に施行された『盛土規制法』によってこれまで宅造規制区域外であった敷地にも、盛土・切土の規制がかかることとなりました。
これにより宅地内にある既存擁壁にも調査が必要となります。建物を安心・安全に使うための建物調査はこれまで以上に重要となってきました。
では、用途変更に関する影響はというと、やはり未確認の増築部分が厳格化されます。なぜか?これまでも未確認の増築部分は既存建築物ではめずらしいことではありませんでした。*未確認の増築部分とは確認申請を受けずに増築された部分をいいます。
改正基準法により、これまで確認申請の提出が不要とされてきた(工事届のみ)都市計画区域外にある住宅で未確認の増築部分がある既存建物を用途変更する場合、200㎡未満の建物で申請不要の場合でも、その増築部分についての措置をどうするか検討する必要が出てきます。
今後は都市計画区域外でも木造平屋建で200㎡以下の建築物(新3号建築物)をのぞき、確認申請の提出が必要になるからです。
例えば、この建物を増築や用途変更する場合の費用を銀行融資で行う場合、金融機関からの確認済証あるいは検査済証を求められた場合、その増築部分を減築するか、既存不適格建築物として報告する必要があります。
今回の法改正により既存の建物を活用して『民泊』や『放課後デイサービス』に用途変更する場合には、より慎重な調査が必要になってきます。
・既存建築物の現況調査ガイドライン(令和11年7月:第3版)国土交通省
・盛土規制法(パンフレット)国土交通省






