木造住宅倒壊のメカニズム
少し専門的な話になりますが、木造住宅が地震の巨大なエネルギーを受けて倒壊するまでには
地震の力を受けて建物が少し傾く→屋根などの上部の荷重を柱が支えきれなくなる→建物にねじれが生じる→倒壊する
このように倒壊のメカニズムを理解すると、補強計画への3つのキーワードが見えてきます。
・水平変位置
・鉛直支持力
・接合部強度
そこで建物を具体的に改修する方法としては
1,トップヘビーからの脱却:屋根を軽くする
2,柱を増やす:上部の荷重を支える
3,耐力壁を増やす:建物のねじれに抵抗させる
4,柱の接合部の強化:柱頭・柱脚の金物補強
などがありますがその改修コストを考えるとき、3の耐力壁と4の柱の接合部を増強するのが現実的です。
1,壁補強は内部補強が基本
耐力壁の不足を補うための壁補強工事は外壁を壊さず、内側から行うことでコストダウンにつながります。
ただし、ここで注意が必要なのは筋交などの耐力壁のバランスです。
新耐震基準の住宅のなかには、開口部が南側に集中していてその耐力壁のバランスの悪さが、大きな地震時に変形やねじれを引き起こしています。
2,金物補強で柱の接合部を強化
建物が倒壊するとき、上部の荷重が鉛直方向に流れて柱に集中し、柱が耐えきれなくなって倒れる。
このとき特にストレスを受けるのが柱頭と柱脚です。そこでその部分を金物で補強します。
実際に耐震改修を行なう場合は耐震診断で現状を把握し、改修の範囲・程度を十分に計画して予算配分を行なうことも大切です。