今回の用途変更でもっともむずかしかったのが「二方向避難」です。
避難階以外の階に就労支援施設などの児童福祉施設を開設する際、その床面積が一定の面積を超える場合には
2以上の直通避難階段を規定の歩行距離以内で設けなければなりません。
当案件を審査する振興局の担当者もこの点がもっとも懸案であったようです。
それはこの建物の独特な構造にありました。
建築当初は鉄骨二階建てであった事務所棟に数年後、鉄骨3階建ての事務所・試験室棟を増築
この時、この二棟は構造的にはつながっておらず別々の建物として使われていました。
また、建物の使用用途は「事務所」であったため、避難計画については考慮されていませんでした。
ここをクリアーできなければ今回の用途変更は頓挫してしまいます。
幸いなことに、既存の2階建て事務所には南側全面と東側にバルコニーが回遊されていました。
振興局との協議の中で、このバルコニーを3階建ての増築棟まで延長することで、
二方向避難を確保できないかという案を出し、新設する避難階段までの歩行距離30mをクリアー
することができました。
このように既存建築物を就労継続支援施設などの「特殊建築物」に用途変更する場合は
クリアーすべき問題が多々あります。
*次回は用途変更のカギは「減築」にありです。