住宅に24時間換気が義務付けられたのが2003年の7月です。当時は住宅の内装材に含まれるホルムアルデヒドやシロアリ駆除剤に含まれる有害物質による室内の空気汚染が問題となっていました。シックハウスという言葉をよく耳にするようになったのもこの頃だったようです。

さて私たちはいま新たな感染源に対する対策をとる必要がでてきました。これまで高気密・高断熱がステイタスとされてきた住宅のスタイルにも『計画換気』が不可欠となり、さらには動線分離などの平面計画が必須となってくるかもしれません。

ただ、実際に問題となってくるのは住宅よりもむしろ店舗や商業施設です。とくに、今後の対策が急がれるのがいわゆる『居ぬき』とよばれる既存テナントの問題です。今後、既存テナントでの新規開業についてはこの『換気』の問題は不可欠になると思われます。

建築基準法の第28条では住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室の床面積の1/20の開口部を換気に必要な面積としている。(ただし、政令で定める技術的基準に従った換気設備を設けた場合を除く)

ここで注意すべき点は特殊建築物に該当しない小規模な店舗等には(調理室・浴室等を除いて)換気の義務づけがないことです。私はこのことが今回のクラスターに関連していないとは言えないと思うのです。

一部の大手外食チェーンではすでに店内の『換気回数』をアナウンスしているところも少なくありません。これから新規に店舗・施設等の開設をする人たちには『換気回数』の知識(意識)が不可欠になると思われます。

また、これまでパチンコ店の大規模改装工事にかかわった経験から、パチンコ店の換気システム(空気環境)が過少に評価されている点は少し残念に思えます。

■換気回数:必要換気量の求め方(三菱電機)

パチンコ店の空気環境についての誤解