12条5項の報告とは、検査済証のない建築物に対して法適合調査を実施し、特定行政庁・建築主事へ報告するものです。ここでいう「検査済証のない」とは完了検査を受けていない建物の場合に適用されます。

既存の建物を用途変更や増改築について『既存の建築物に関する制限の緩和』(法第86条の7)の適用を受ける場合、その建物が『既存不適格』であることを証明する必要があります。

『既存不適格』とは、既存の建物が法令の改正によって改正後の技術的基準に適合しなくなったとしても、その建物を違反建築物として扱わないこととするものです

つまり、「その建物を継続して使用できて、条件次第ではその建物を用途を変更して使用したり、増築改築してもいいですよ。」ということになります。

詳しくは、平成26年7月に国土交通省から公表された「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」をご覧ください。

また、12条5項の報告でその建物が『既存不適格』であることが証明されても、緩和措置にあたらない規定に対しては、現行法に適合させるためにその部分を『是正』する必要があります。これを是正工事といいます。

つまり是正工事とは、12条5項の報告における法適合調査によって現行の建築基準法に合わなくなった部分を是正することで、現行法に適合させるための工事です。(ただし、既存不適格部分を除く)この報告が受理されると、当該建築物は増築や用途変更への確認申請手続きができるようになります。

12条5項の報告は検査済証のない建物を救済するための措置ですから、『申請』ではなく『報告』です。ですからその後に確認申請が必要になることはことはいうまでもありません。

登記簿に反映されない未登記部分に注意

 

→→検査済証はなぜ必要?検査済証のない建物の救済措置』