平成30年9月~令和元年8月にかけて、食品工場のリニューアル工事の設計を担当させていただきました。

今回の改修工事の目的は、建物の老朽化とHACCP(ハサップ)対応工場とするためのものです。

HACCPについては平成30年6月の食品衛生等にかんする法律が一部改正され、原則としてすべての食品等事業者は、HACCPに沿った食品衛生管理に取り組むことで義務化されます。(厚生労働省)

あらかじめお断りしておきますが、私はHACCP認証の専門家ではありません。ですから、お話の内容は建築についてのみになります。

まずは、『HACCPの考え方』についてです。

今回のリニューアル工事で最初に懸案となったのは、HACCP対応工事についての建築的な資料は限られていて、その多くはHACCP認証制度のためのものだったことです。

したがって、まずインターネット上などのいろんな資料を集めて、その中からこの現場に適したものを抜粋していく作業からはじめる必要がありました。そんな中でまず最初にわかったことが『HACCPはハードではなくソフト』であるということです。

では、ハード(設備等)は重要ではないかというとそうではなく、ソフト(衛生管理システム)を円滑に進めるうえで必要最低限の設備は必要になるということです。

たとえば、除菌室にエアシャワーが必ず必要かというとそうでもなく、隔離された部屋(スペース)の中で粘着ローラーなどを使って、衣服等についたホコリなどを取り除く方法が確立されていればよい場合もあります。

つまり、高価なHACCP対応品で工場を建てたからといって、その施設がHACCP認証工場になるかというとそうではなく、HACCP認証の規定にそった衛生管理のしくみ作りが重要になってくるのです。

・HACCPシステムに対応させるための注意点

・HACCのゾーニング手法

・HACCPにおける換気設備の要件